犬はおやつより人の視線に敏感

Science Daily®

2017.10.19

ポートマス大学の新しい調査によると、犬は人に見られているとき、一番表情が豊かになる

ポートマス大学ドッグ・コグニションセンターの研究者が、犬は人の視線を感じているときに一番表情を変えることを、はじめて実証した。おいしい食べ物を見たときでも、それ以上に表情を変えることはない。つまり、犬が表情を変えるのは、単に興奮しているからではなく、コミュニケーションを取るためだということがわかった。

この調査によると、まゆを上げて眼をぱっちり開ける――「パピードッグアイ」と呼ばれる――表情が、もっともよく見られる表情だ。

犬の認知の専門家Dr.ジュリアン・カミンスキーが主導したこの調査は、サイエンティフィック・リポートに発表されている。

ジュリアンは「犬の表情は、まわりの人からの視線に反応して生まれるもので、単純に犬が感情的になった結果として生まれるものではないんです。我々の調査では、犬は誰かに見られているとき、非常に豊かに表情を変えており、おやつを見せても同じような効果はありませんでした。つまり、人が注意を向けることに敏感で、犬の表情はコミュニケーションを取ろうとする積極的な行為であり、単なる感情表現ではないということを実証しました。」

多くの哺乳動物には表情がある――この表情は動物の行動レパートリーのなかでも重要なものと考えられている――しかし、長い間の仮説は、動物の表情は、人間の表情を含め、まわりの人に対する反応というよりも、個々の無意識の感情から生まれるものとされてきた。

Dr.カミンスキーは、犬の表情は、家畜化の過程で変化を遂げてきたという。

1歳から12歳の様々な犬種からなる24頭を調査している。すべて家庭犬である。どの犬も人から1メートル離れてリードをつけていた。人が犬と関わる、犬の邪魔をする、犬から離れるなど、様々な条件をつけて犬の表情を撮影した。

犬の表情の変化は、筋肉の動きをもとにした測定方法で、信頼できる基準化された自動コーディングシステム「DogFACS」を使用して評価した。共著者であり顔の表情の専門家であるブリジット・ウォラー教授は「DogFACS」は、犬の顔のすべての異なる筋肉で動きを捉える測定方法だと説明する。この様々な表情筋が、非常に細やかな瞬間の顔の動きを可能にしている。

FACSシステムは、本来、人間用に開発されたものだが、サルや犬のような動物に適用するため修正されている。

「家庭犬にはおもしろい歴史があります――三万年も人と共生してきた間に、淘汰圧が、犬が私たちとコミュニケーションを取る能力に影響したのだと思います。家庭犬は、人間の細かい相対的な行為に注意を払うということは分かっていました――たとえば、以前の調査では、人が目を閉じているとき、また、犬に背を向けているときのほうが、犬は盗み食いをします。別の調査では、人が犬にアイコンタクトを教えると、犬は人の視線に従うようになります、つまり、犬は、人の視線の移動が犬に向けられていることを理解している、ということがわかっています。」

「この調査により、犬の認知についてより理解が進むようになりました。そして、人が犬に注意を払っているときに、犬はより表情が豊かになることが分かりました。」とDr.カミンスキーは言う。

しかしながら、どの調査からもはっきりとは言えないのは、犬の行動の原因が、他の認識することを柔軟に理解できるためなのか――犬は他の個々の心理状態を真に理解しているのか――また、犬の行動がそれに直結したものなのか、他の個々の顔や目を見た結果、学習により獲得された行動なのか、という点だ。

パピードッグアイは、人の悲しい表情に酷似している。この表情をされると、人はとても犬に感情移入しやすくなる。また、パピードッグアイは、子どもの表情ような大きな目になるため、人が子どものような性質を好むことを利用していることも考えられるだろう。そのメカニズムはどうあれ、人はとくにこの犬の表情に敏感だ。

過去の調査では、類人猿のいくつかも、周りの人に反応して表情を変えることを示したものがあるが、現在のところ、犬が人とコミュニケーションをとるために表情を変える能力について、体系的に実証したものはない。